- 2010年2月19日 2:46 AM
- 音楽
最近レビューばっかだったので、たまにはコラムでも書こうかなと。
2月17日とあるシングルCDが発売された。
今何故か人気のアイドルユニットAKB48が放つ「桜の栞」である。
(ファンの人には申し訳ないがどこがいいのか分からない)
個人的には同じ日に発売されたfripSideのシングルのほうが興味あったし、事実そっちを買ったんだけど
どうやらこの「桜の栞」がエラいことになってるらしい。
AKB48「桜の栞」が発売初日に推定 22万9528枚 を売り上げオリコンデイリー1位に!!
CD不況といわれるこのご時世。
1日に約23万枚なんて思わず耳を疑う数字である。
2位のfripSideが1万枚程度であることを鑑みても如何にこの数字が異常かよくわかる。
どうにもこの理由が気になって仕方なくなったのでいろいろ調べてみたら面白いことが見えてきた。
AKB48はアイドルオタクの話だけど、一部僕らエロゲーマーにも通じることもあったので今回コラムを書くこととした。
【素晴らしき特典】
AKB48は最近でこそテレビへの露出が激しくなり、知名度も上がってはいるが
22万9528人の人間が彼女たちのCDを買ったとは到底考えにくい。
もしそうだとすれば、544人に1人程度がこのCDを買ったということになる。
これは可能性としては考えにくいものである。
このような可能性よりも、ファンが何らかの目的のため複数購入を行っていると考える方が自然である。
その説を有力付ける証拠として先程リンクしたサイトに次のようなデータがある。
大声ダイ/10年桜/涙サプ/言い訳Ma/RIVER/ 桜の栞
――――――――――――――――──――──―───
月 —,— —,— —,— —,— —,— —,—
火 *14,384 *28,600 *41,046 *57,456 *87,795 229,528
水 **7,014 *11,971 *19,135 *13,840 *54,049
木 **5,942 **7,200 *14,839 **7,063 *14,259
金 **6,008 **7,490 *15,607 **3,738 **4,707
土 **8,299 推4,300 **6,346 **2,869 **7,085
日 **6,538 **5,579 推2,500 **4,215 推3,000
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
計 *48,185 *65,140 *99,473 *89,181 170,895 229,528
週 *48,258 *66,226 104,180 *90,774 178,579
累 *82,662 112,985 152,306 122,022 230,668
前のシングル「RIVER」の発売日は去年の10月である。
その前のシングル「言い訳maybe」の発売が去年の8月であることを考えると、せいぜい10万枚を超えればいいほうだと考えるのが自然である。
しかし実際にはその倍以上の初動である。
何らかの理由があると考えるのが当然である。
その理由として考えられるのがファンの複数購入である。
これはこの実態を説明づけるのに最も適した理由である。
実際今回の「桜の栞」では次のような特典がついている。
【劇場盤】
■発売記念個別指名写真会参加券付きCD 261種
●発売記念個別指名2S写真撮影会 87名 3日間
※東京ビックサイトで1日12時間を87名の時間帯交代制で
ツーショット撮影会を計3日間開催
※キャラアニで購入時に日にち(3日間より選択)と
メンバー指名写真会参加券(87名より選択)し、
87名×3日間の計261種撮影券の中から選択し購入(複数枚可)
※お客様ご持参のカメラ機能付き携帯電話で
お好きなメンバーと2ショット写真を撮って頂く
「劇場盤 発売記念写真会」を開催いたします
★各メンバー生写真 1枚ランダム封入
【通常盤】DVD付き2種
■①全国7都市共通握手会券の東京A券、
又は②同握手券の東京B券付き
※通常盤2種CDにそれぞれ「握手券」が東京会場2日間のうち、
いずれか1日分を明記して①と②の2種類券がランダムで
封入されております。
※東京以外の会場は2種券共通となります。
●握手会 2月20日(土)~4月4日の間で
7都市8会場×1日3、4グループ別握手予定=
全24~32回の間の握手回予定
※握手会はメンバーを数人ずつのグループに分け、
お好きなグループと握手をして頂きます。
(参加券1枚=1グループと握手となります)
★DVDA 特典映像
永久保存版「卒業おめでとう」映像
★DVDB 特典映像
永久保存版「ほんとは好きでした」映像
★予約店舗特典
HMV・DMM・タワレコ・新星堂でオリジナル写真
★他特典にA、B2枚同時購入で収納ケースなども
ズラーっと引用したはいいが非常にわかりにくい。
そもそもこんなに特典がついているシングルCDはボクの知っている限り初めてである。
この意味不明な特典を理解するためにはまず「桜の栞」が実は全部で5種類販売されているということを知る必要がある。
実は「桜の栞」は
- 通常版A
- 通常版B
- 劇場盤
- 初回限定版A
- 初回限定版B
の5つが存在するのである。熱心ファンであれば当然これら5つすべてかあるいは初回版2つと劇場盤を買おうとするだろう。
これだけですでに一人当たりの平均購入枚数はかなり押し上げられることになる。
そして重要なのはそれぞれに付属している特典が違うという点である。
【劇場盤の特典をまとめてみる】
ではそれぞれの特典を見てみよう。
まずは「劇場盤」からである。
先程羅列した文章を読み返してみると、劇場盤をキャラアニ.comで購入すると写真撮影会の参加券がもらえるらしい。
これはメンバー87人分が用意されている。
だから全部で87通りかと思ったら、撮影会は3日間開催されそれぞれに参加券が違うらしい。
というわけで87×3=261通りの参加券があるということになるわけだ。
熱心なファンの中にはお目当ての娘と3日連続で写真撮影すべく3枚購入する猛者もいるかも知れない。
さらに劇場盤には生写真がランダムで封入されている。
ランダムなのでお目当ての娘を掘り当てるため大人買いする猛者もいることだろう。
【通常版の特典をまとめる】
通常版の特典と初回版の特典は共通している部分があるのでまとめて見てみる。
通常版を買うと握手会の参加券が封入されています。
この券またややこしいことに2種類存在するのです。
- 仙台、北海道、大阪、広島、福岡、名古屋、東京A
- 仙台、北海道、大阪、広島、福岡、名古屋、東京B
つまり東京以外の都市についてはどっちも同じなんだけど、東京については券の種類によって参加出来る握手会の日が違いますよってことです。
こんなややこしいことするなら統一すればいいのに。
で、この握手会というのがクセモノです。
AKB48はメンバーが多いからということでしょうか、
メンバーをグループに分割してそこから1つだけ選んで握手できるとのこと。
複数の娘が好きという人はそんなにいないでしょうが、そういう人は困るでしょうねぇ……
ここまでは通常版ABに共通の特典。
ABと分かれてるからにはAとBで違うものが入ってるわけです。
Aには
- 卒業おめでとう 映像
Bには
- ほんとは好きでした 映像
の収録されたDVDがついてくるらしいです。
何が収録されているのかいまいちよく解らんです。
【店舗特典という鬼】
これだけですめばいいのですが、実はまだ特典はあるわけです。
「桜の栞」をどの店で買うかによってついてくる特典が違うのです。
- HMV ジャケットカバー
- 新星堂 ジャケットカバー
- タワレコ ジャケットカバー
- ツタヤ トレカ
などなど店舗によって特典はバラバラ。ジャケットカバーと統一して書きましたが、もちろん店によって柄は違います。
さらにチェーン店でない店でも各種特典が用意されているようです。
これらすべてを集めようとしたら一体いくつCDを買えばいいのやら……
【暗躍する転売】
これだけ大量に出まわると「転売」というワードが心のなかに引っかかります。
桜の栞でヤフオク検索してみたところ、現在5919件ヒットしました。
しかしこの中には握手会参加券なども含まれているので、それらを絞り込みます。
それぞれ検索をかけてみると
- 握手会 256
- 写真会 1912
- その他特典 2856
というぐあいです。
また特典の転売のみならず、特典を抜いた後の余り物のCDの転売も目立ちます。
検索をかけてみると60枚セット、50枚セット、25枚セットなどが当然のように見受けられます。
これらは生写真はもちろん各種参加券もすべて引っこ抜かれています。
ちなみに最高入札額も調べてみました。
- 写真会(3枚セット) 15,000円
- 握手会(5枚セット) 6,000円
CDそのものが通常版で1,600円することを考えるとそんなに割のいい商売というわけでもなさそうです。
【まとめ】
「桜の栞」の特典や転売の実態をまとめてみたわけだが、上の文章を書いていてふと感じたのが
彼らはCDを買っているのではない
という事実である。
AKB48のファンはCDを買うというよりは、特典を買っているのである。
突き詰めて言えば目当ての娘と握手をし、一緒に写真をとるという権利を買っているのである。
物的に言えば卒業おめでとうかなんだか知らないがそのCDを買わないと手に入らない限定のDVD映像を買っているのである。
このはなしは美少女ゲームにも通ずる部分があるよなぁと思います。
今やシナリオや絵に並んで「特典」がエロゲーを購入する際の一種の基準になりつつあります。
AKB48も結局一緒で、特典そのものがCDの売上を左右している。
このようなブログをやっている以上、決して他人事ではないなと実感しました。
タイトルでは搾取って書きましたが、厳密に言うとそうではないのかなと思います。
なぜならAKB48のファンは決して強制されてこれを買っているわけではないから。
あくまで自発的に大人買いをしている。
プロデュースしてる側としたら、そのような流れに乗っかって特典つけまくってるだけととることもできる。
向こうは金儲けでやってるんだからそういう考えに至るのも当然だといえる。
しかし、こう何か釈然としないものを感じるのはボクだけだろうか。
何かこの間倉庫で火事を起こしてた埼玉県のエロゲーメーカーを見ているような気分である。
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コメント:2
- ヤタ 2010年2月19日
>エロゲーを購入する際の一種の基準
こんな流れの中イノグレは逆の動きをしたり、
逆にメーカーとして弱いところは、特典をよりつけることに執着する。後者の方が大きな流れにはなるでしょうけども
個人的には前者の流れが、今後どうなっていくのかが気になります。とはいえ『良いゲームを作ればやってくれる』
そんな言葉をどっかで聞きましたが、綺麗な言葉だけでは
財政的にもたない、でもユーザーを考えると……メーカーはそんなジレンマを味わって欲しい、そしてそのジレンマの先に
何があるのか見せて欲しい。 などと思いました。- Kohaku 2010年2月21日
>ヤタさん
良いゲームを作ればいい ってのが難しいのは
この間のリトルウィッチの件でもよくわかることです。
創作に金銭的な問題はつきまといますが、それが創作というものを難しくしていますね。
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